SRRVを取得するまでの長い道のり。やることはたくさんありますが、大切なのは順序を間違えずに一つ一つ確実にクリアしていくこと。
ここで説明するのはSRRVを自力で申請したいと思った人がまず行うべき作業。日本で集める書類もありますが、まずはフィリピンに行くのが先決。担当の役所でSRRVを取得したいと意思表示し、預託金用の銀行口座を開設します。
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マカティにあるPRAを訪問
SRRV(特別居住退職者ビザ)に関する業務はすべて、PRA(フィリピンリタイメントオーソリティー)が受け持っています。なのでとりあえず行くべきはPRAのオフィス。マニラなら中心地マカティにあるシティバンクタワー29階を目指しましょう。
PRAのオフィスはセブにもあるそう。だけど本部は当然マニラなので、セブで申請する場合ロスが生じます。セブを愛している人ならセブで申請すればいいと思いますが、早く確実に取得するならマニラのほうが無難だと思います。
シティバンクタワーはかなりきちんとしたオフィスビル。なのでドレスコードがあります。サンダルや短パンはNGです。
だからといってスーツを着ていく必要なんて全然ないので、襟付きのシャツにジーンズなどスマートカジュアルな格好で行きましょう。女性もラフ過ぎない服装なら問題ありません。
1階の受付でPRAに行くと伝え、手持ちの身分証明書と引き換えに入館証をもらいます。ここでパスポートを預けるわけにいかないので、日本の免許証などを持参しましょう。英語の身分証明じゃなくても大丈夫なようです。
新規で申請したいと伝える
エレベーターに乗って29階に着いたら、入口のセキュリティで名前や訪問目的を記入して入室します。正面の受付で「新規でSRRVを申請したい(I’d like to apply SRRV)」と申し出ましょう。
新規申請者(New Applicant)には担当の人がついてくれるので、1対1でSRRVに関する説明を受けます。説明内容はそんなに難しいことではないので、英語が苦手でも事前に情報収集していれば問題ありません。
銀行向けレター発行を依頼
担当の人が説明してくれますが、日本に帰る前に預託金用の銀行口座を開設する必要があります。日本に帰ってからこの口座に送金を行うため、このタイミングで絶対に済ませておく必要があります。
写真の通り銀行は複数から選べます。それぞれ支店まで指定されていて、これ以外の銀行支店では口座開設できません。事前に目星をつけておくと良いでしょう。
私の場合はフィリピン最大手銀行の一つ、バンコ・デ・オロ(通称BDO)を選択しました。
きちんと下調べをしていたわけではありませんが、有名人の与沢翼さんがBDOで口座を開設したことを知っていたのでとっさに選びました。(与沢さんのファンではありませんが、自らの資産管理のことなら信頼できそうですよね)
フィリピン永住権の一つであるSRRV(Special Resident Retiree’s Visa/特別永住退職者査証)を本日取得しました^^妻と麗もおまけでもらえるのがこの永住権の良さ。年会費360㌦でフィリピンに永久に住む事が可能で有効期限はなし。SRRVを使ってBDO銀行の口座を開設してきました!写真はダイエット前の pic.twitter.com/IsAlWvL68i
— 与沢 翼 (@tsubasa_yozawa) 2018年11月5日
銀行を選んだら担当の人にレター(LOI, レターオブイントロダクション)の発行をお願いします。その時の状況によっても変わると思いますが、私の場合は翌日の午後にレターを取りに来るよう指示されました。
レターは同じPRA内の隣の部屋、財務部(ファイナンシャルデパートメント)から受け取ります。担当者の名前を教えてくれるのでメモしておきましょう。
ここで銀行口座を開設せず、「一旦PRAの口座に送金する方法もある」との情報もありますが真偽は不明。私にはそのような説明は一切なく、上記のような方法を指示されました。昔はPRAの口座を経由する送金方法があったのでしょうか?
翌日、銀行向けレターを受け取り
指示通りの時間にPRAの財務部を訪れるとレターが用意されているはずです。
「はず」と書いたのは、そうじゃない可能性もあるからです。私の場合は訪問時にレターが出来上がっておらず、その場で1時間以上待ちました。それでも当日に受け取れただけで大成功です。
のんびりとした国民性のフィリピンでは、お役所の仕事も時間通りとはいきません。だからこそ余裕を持った日程と、忍耐強い精神が必要。うまくいかないからといって受付の人に怒鳴ったりしても何の意味もありません。
指定銀行支店で口座開設
レターを無事受け取ったら、指定の銀行支店へ行きましょう。ほとんどの銀行は支店が徒歩すぐの場所にあるようなので移動はラクです。私の選んだBDO銀行パシフィックスターマカティ支店はPRAから徒歩5分ほどの場所。
銀行を訪れたら受付で「SRRVのための口座を開設したい(I’d like to open an account for SRRV)」と告げましょう。レターを見せるとスムーズに事が運びます。
カウンターで銀行口座開設のための申請書に必要事項を記入します。ここでフィリピンの住所が必要になるので、滞在先ホテルの住所を控えておきましょう。
ここで記載した住所は日本から海外送金をする際にも必要になるので、きちんと把握して間違いなく書いておきましょう。住所が間違っていると後で困ることになる可能性があります。
銀行にもよると思いますが、私の場合はここで職業についてけっこう詳しく聞かれました。年金をもらっている年配の方や、会社員の方なら問題ないのでしょうが、フリーランスの方などは説明できるよう用意しておいたほうが確実です。
口頭での説明だけで終わる可能性もあれば、証明する文書などを求められる可能性もあります。取引先との英語での契約書などがあれば確実です。
申請書の記入が終われば、新しく開設したドル建て定期預金口座の口座番号が渡されます。この時通帳などはもらえず、渡されるのは本当に小さい紙きれ一つ。不安になりますがこれで大丈夫。小さい紙きれを大切に保管しましょう。
口座番号がわからなくなると当然日本からの送金もできません。紙切れはスマホで写真を撮るなどしておくと良いと思います。
ここで開設したドル建て定期預金には金利がつきます。私が口頭で受けた説明によると「3か月定期なら年利0.6%、1年定期なら年利1%」とのこと。
SRRVを保有している限り引き出せないお金なので、当然選ぶのは1年定期。約220万円の預金なので約22,000円が毎年受け取れる計算です。
フィリピンでの作業は一旦終了
銀行口座を作れたら、フィリピンでやるべきことは一旦すべて終了です。必要書類を集めて、預託金を送金するために日本に帰りましょう。
預託金は必ず海外から送金する必要があるそう。現金を持ち込んでの入金はできない可能性が高いです。
ホテルはPRAに近い場所がおすすめ
マニラの交通渋滞は本当にひどい状態です。朝夕のラッシュ時は数キロの移動に何時間もかかるほどで、そうじゃない時間もほとんどすべての主要道路が慢性的に渋滞しています。渋滞に全ドライバーがイライラしているので、タクシーの運転も荒くて体力を消耗します。
なのでSRRV申請のためにマニラに滞在するなら、できるだけPRAオフィスに近い場所がおすすめです。
私の宿泊したホップインホテルマカティは、あまり暑くない時期なら徒歩でもPRAに行けるくらいの場所。ゲストハウス並みの値段で清潔なホテルだったので、あまりお金をかけずにまあまあのホテルに滞在した人には良いと思います。
最短でも平日3泊は滞在するのが確実
今回の工程は「PRAを訪問してレター発行を依頼」⇒「翌日レターを受け取り」⇒「銀行で口座開設」の3ステップ。理論上は2日で完結するので、日本から一泊二日の弾丸旅行でも可能に見えます。
だけど日程は余裕をもっていたほうが確実です。フィリピンでは日本のように全てが完璧に進行するわけではありません。レターの発行に時間がかかったり、口座開設に手間取ったりとトラブルの可能性はいくらでもあります。
銀行もPRAも平日のみの営業なので、平日に丸3日くらい時間の取れる日程なら確実だと思います。私は時間にはかなり余裕のあるほうなので、5泊ほどマニラのホテルに滞在しました。